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元JVCケンウッド音質マイスター 萩原光男 が行く「世界音紀行♪」 第3章

萩原光男さんが行く「世界音紀行♪」の第3回目、今回は萩原さんが展示会を終えて、いよいよ音楽の都ウィーンへ入ります。

第3章 「音楽の都 ウィーンへ」

5日間の展示会も終わり、待ちに待った音楽の都ウィーンに入ります。

シュツッツガルトから空路でオーストリアのウィーンに入り、空港から市内へはタクシーで行きました。乗ったタクシーは欧州で一般的に使われているベンツですが、高速道路を走ると道の舗装状態が悪いのか、車の振動が激しい・・・。道路状況でずいぶん乗り心地が違うものです。

道路整備は欧州の中ではドイツが一番いいのです。さすがにドイツのような欧州屈指の経済大国とオーストリアのような普通の国ではインフラ整備の違いを実感します。

また周りの風景もだいぶ違います。地域独自の建物の特徴もありますが、住宅も含めシュツッツガルトの方が整備されていました。良い方に考えるとウィーンの方がゆったりしていておおらか、というのが第一印象でした。

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市内のベートーベン像

そんな風景を眺めてみると改めて、異郷へ来たのだなと思いました。

ウィーンは私にとっては異郷なのです。

ドイツへは1987年以降ほぼ毎年通い、その周辺国にも足を伸ばしていました。そのため私にとって欧州といえばドイツ、イギリス、オランダ、フランス、イタリアと言ったところです。しかし、ここウィーンはちょっと違う感じがするのです。このウィーンに感じる「違う感じ」を大事にして、今回は音楽都市ウィーンを楽しもうと思います。

ホテルはウィーンの中心部から歩いて30分弱のドナウ川の支流の運河の近くにあります。

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ホテルの近くのドナウ川からの運河

路面電車の走る大通りの一本裏に入った通りの、無機質で無愛想なコンクリートのビルの一つでした。夜になると怪しげな色の照明が点く家もありましたが人通りも少なく静かです。ホテルに到着し、早々にチェックインを済まして早速散策に出かけました。

ウィーンにはリングという、町の中心部をぐるりと一周している路面電車が走っています。

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ウィーンの中心部を円周状に走る電車 リング

観光都市だけあって夜も人通りが多く、夜遅くまで店も開いています。

営業時間の制限の厳しいシュツッツガルトとは大違いです。こんなところもお国柄と言ったところでしょうか。

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シュテファン大聖堂とそこで行われていた福島震災の支援イベント

ところで、少し歩き回ると町の音がシュツッツガルトとはだいぶ異なっていることに気付きます。

シュツッツガルトの町の音とその響きは透明感があってクリアでしたが、ウィーンの町では暗騒音(特定の場所にいた時に聞こえる周囲の雑音)が多く聞こえてきます。ウィーンという都市はノイズの量が多いのです。これはシュツッツガルトとウィーンの地形的な配置から説明することができます。

シュツッツガルトは盆地のため、遠方の交通機関の音などは市内には伝わりにくいのですが、ウィーンは平地にあるため遠方からの交通騒音など様々な雑音が市内に伝わってくるので、聞きたい音に付加されます。

日本でも京都と奈良で比較すると同じような音の違いがあります。京都の音はシュツッツガルトに似ており、暗騒音が少ないため透明でクリアです。それは京都が三方向を山に囲まれているために遠方からの音が遮断されるような地形をしているからです。清水寺周辺などを散策すると、早朝のひと気の無い時間には透明な静けさが感じられますが、昼間の雑踏の中でも音の一つ一つに透明感がありクリアです。一方、奈良はウィーンに似て、平地にあるため遠方からの騒音が伝わり、暗騒音が多いのです。

暗騒音が多いウィーンや奈良の音は、良い方にその特徴をとらえると響きに厚みがあって膨らみがあり、人の声などの身の回りの音が滑らかに聞こえます。音に包まれる感じが豊かで、心地良いメロディーがあれば、音に包まれ心が揺れる快感を得ることができます。

つまり、暗騒音が多く存在すると・・・

・音と音の間を埋めて滑らかな音にする作用があり刺激的ではなくなる。

・人の声や周囲の音に厚みや響きを感じさせるのは、それらの暗騒音の成分が人の声や周囲の音と 同じ周波数の帯域であり、人の声や周囲の音に付加して厚みや響きを感じさせる。

・これらの暗騒音は圧迫感も感じさせますが、人の心にいつも音に包まれているという安心感を与える。

このように町一つをとっても音がどのように聞こえてくるか違いがでるのです。皆さんも普段生活している町の音と旅行先の町の音を聞き比べてはいかがですか?きっとその町独自の音が聞こえてくると思います。

さあ、明日からはいよいよムジークフェラインザールでのコンサートなど、楽しみな計画イベントが待っています。それらの音は、このウィーンのから伝わる「音の印象」の延長にあるのです。


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