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元JVCケンウッド音質マイスター 萩原光男 が行く「世界音紀行♪」 第5章

萩原光男さんが行く「世界音紀行♪」の第5回目、今回は萩原さんがムジークフェラインザールの中の小ホール「ブラームスザール」の音に浸ります。

第5章 「グローサザールとブラームスザールの違い」

本題に入る前にちょっと解説です。今回のウィーン音楽紀行ではムジークフェラインザールについて書いているのですが、ムジークフェライン(楽友協会)にはいくつかのホールがあります。大ホールのグローサザールは音質が良く黄金のホールとして有名でムジークフェラインザールといえばこのホールを指す事が多いようです。ムジークフェラインザールには他にもホールがあり、次に有名なのは小ホールのブラームスザールです。このホールもグローサザールと同じ頃1870年に作られています。今回はこのブラームスザールのコンサートの音に浸ります。

今回はムジークフェラインザールの小ホール、ブラームスザールでのコンサートについてですが、コンサートホールのあり方とか、コンサートホールの役割についても考えてみようと思っています。

前回のブログでグローサザールでの素晴らしい体験を書きましたが、今回の小ホールのブラームスザールも、このホールならではの音を感じました。それは演奏の細部までもリスナーに聞かせる表現力です。しかし、この部分は油断すると聞き逃してしまうところがあり、そこがこのホールの評価がもう一つであることの要因だと思いました。

そのあたりを解説しながら、鑑賞体験を書いて行きたいと思います。

まず、最初はKuchl-Quartett(キッヒルカルテット)です。この名前にはあまりピンと来てなかったのですが、プログラムを買ってみると、Kuchl(キッヒル)とはウィーンフィルのコンサートマスターであるライナー・キッヒルさんの事、いろんな意味で期待して聴きました。

ウィーンフィルのコンサートマスターが演奏する室内楽ですから、「ウィーンフィルは室内楽をこう考えている」というものを具現化したものであるはずです。しかも曲目にはベートーベンが入っています。

演奏はとても良い演奏で、特に彼のバイオリンとチェロは良かったです。チェロはピチカートや低音部の長めに響く音符の音が適切な量感があります。日本国内のホールでは低音がもう少し滞空時間があってもいいのにと思うのですが、このホールでは日本人が聞くと低音が量的に多めですが、この曲にはそれが良いバランスでとても満足できました。

中高域の響きはコントロールされていて、楽器の演奏テクニックや音符の動きが良くわかります。キッヒルさんのテクニックはとても素晴らしいもので、その音の動きが聞きながら良くわかりました。キッヒルさんのバイオリンが耳元で演奏しているかのように近くに感じるのは、ステージの左右の円柱(写真参照)がこのように影響していると思うのです。このような音の周波数帯域バランスで、しかもこのように耳元に感じるような音はどこのホールでも聞いたことがありません。

中高域は輪郭がつき明確です。フォルテの演奏でちょっとキツイかなと思うところもありましたが、

チェロの低音はそれに対応するように明確で、ブーンと弾む感じがあります。音のバランスも素晴らしいものでした。

このようにブラームスザールは演奏の細部まで表現し、しかも音のバランスを保っている点がグローサザールと最も違うところです。グローサザールは響きを重視して、音符の動きやテクニックは表現しきれていません。グローサザールと違ってこちらは、昔の宮廷の一室で音楽界が催されるとこんな感じか、と思えるものでした。

ウィーンフィルコンサートマスターが考える室内楽のあり方が良くわかりました。

読んで頂いてわかると思うのですが、グローサザールは黄金のホールとも言われるほど、すばらしい評価があるのですが、素晴らしい響きを聴かせる反面、細部や演奏のテクニックなどの表現が弱いという弱点があるのです。

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もう一度、ムジークフェラインザール、グローサザールの評価を確認して見ると、グローサザールは響きが豊かで、ロマン派の音楽に適しており、ロマン派の音楽は情感豊かに演奏され、細部の音の動きよりも、全体の音の流れに浸って、響きや余韻やメロディーの美しさを楽しむ、という音楽です。

見方を変えると、響きが豊かな反面、音や音楽の細部は聞きにくいところがある、ということです。マーラーや現代音楽などのように微妙な音や表現をする演奏よりもロマン派の音楽に適しているという訳です。

私はこの点をムジークフェラインの人たちやウィーンフィルのメンバーはどう考えているのかという疑問があったのです。

今回、ブラームスザールの音を聞くことで、ブラームスザールがグローサザールに無い音を補完する形で存在しているのだ、ということを理解しました。

曲目:ショスタコービッチ弦楽四重奏曲 No 5,  Op92

弦楽四重奏曲No6,   Op101

ベートーベン   弦楽四重奏曲OP59

フェルトーン  ハイブリッドタイプ

フェルトーンのハイブリッドタイプには、フェルトと木板材が組み合わされて構成されています。

オーディオで木板材を使う効果はフェルトだけで構成された物が無機的な音になり易いのに対して、木板材を使うことで自然な柔らかい音にできます。

今日はオーディオや音楽と木との関係の話をしましょう。

オーディオではスピーカボックスを初めとして、いろんなところに木材が使われています。

アンプなどの金属でできたコンポーネントの側板に木が使われているものがありますが、これも木の響きで音を柔らかくしようという意図もあります。

スピーカのコーン紙も、脱紙コーン振動板といってオーディオブームの頃はいろいろな樹脂でできた振動板が作られました。しかしそのような波が去ってみると、軽量で重量当たりの強度が最も強いということでコストパフォーマンスが良い紙が再びたくさん使われています。

軽くて強度があるということは、省エネルギーでもあります。また、紙の自然な柔らかい音は、木材の音であり、多くの楽器が木材で作られていることから、音色に違和感がない、ということが言えます。

バイオリンやギターの音を響かせる部分には松や杉が使われます。

ピアノにもスプルースという松系の木材が使われます。

アメリカの有名なスピーカメーカーのスピーカボックスには米松が使われていました。

コンサートホールのステージの床はオーク(楢)などの広葉樹が使われています。

このように、音楽と木は深い関係にあり、その地域の音と音楽の文化に大きな影響を与えています。

ところでフェルトーンのハイブリッドタイプには杉の板が使われています。

杉は明るい柔らかい音がしますね。

東京ブラインド工業では、フェルトーンのハイブリッドタイプに杉を使う前に、国産杉材を用いた木製ブラインドを製品として持っています。秋葉原のUDXビル内にある高さ3800㎜の木製縦型ブラインドは東京ブラインド工業の製品です。東京ブラインドでは杉などの板材を以前から使いこなしていたのです。

この秋葉原にある木製縦型ブラインドは高さ3800mmの板材を一枚板で作られており、設置5年が経過する今もなお曲がることのない(反ることのない)ブラインドを作る高い技術に、専門違いの私も驚いてしまいます。

フェルトーンのハイブリッドタイプにはこのような、今までオーディオとは無縁と思われていた高度な技術が使われているのも魅力です。オーディオに、このような異分野の高度な技術が入ってくることは、オーディオの進化のために嬉しいことです。

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